症例報告
重症感染症をともなった急性壊死性膵炎に対する経後腹膜経路オープンドレナージ法の1例
守瀬 善一, 山藤 和夫, 高橋 哲也, 朝見 淳規, 林 浩二, 藤井 俊史, 武内 孝介, 貴志 和生, 戸倉 康之
浦和市立病院外科
重症壊死性膵炎に対して,経後腹膜経路アプローチによるオープンドレナージ法をもちいて救命しえた症例を得たので,その術式とともに報告する.症例は69歳の女性で,心窩部痛,背部痛を主訴として来院した.急性膵炎の診断で治療を行ったが,ショック状態に陥り手術を行った.CTで,膵床より両側腎周囲,左側は結腸背側を経て骨盤部後腹膜に至る感染壊死巣を認めた.左第12肋骨根部より上前腸骨棘に至る斜切開にて腎周囲に直接到達し,脾臓背側から仙骨前面までの後腹膜壊死巣の用手的除去後,開放創とした,右側にも同様の切開を置き,1日2回の洗浄・壊死組織除去を行い,感染は約1か月で制御された.感染性壊死性膵炎に対しては開腹下に腹側より行われる手術法が多いが,後腹膜全体広がった感染壊死巣の除去は不完全となりやすい.経後腹膜経路オープンドレナージ法は,後腹膜全体に広がった感染壊死巣に軽度の侵襲で十分な効果を挙げる術式である.
索引用語
acute necrotizing pancreatitis, retroperitoneal drainage, open drainage
日消外会誌 28: 2205-2209, 1995
別刷請求先
守瀬 善一 〒336 浦和市三室2460 浦和市立病院外科
受理年月日
1995年7月5日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|