原著
リンパ節転移からみた早期胃癌の縮小手術―特に迷走神経温存,幽門保存手術―の適応について
今田 敏夫, 竹鼻 敏孝, 利野 靖, 鈴木 誠, 高橋 誠, 陳 超, 野口 芳一, 山本 裕司, 天野 富薫, 松本 昭彦, 小林 理*, 西連寺 意勲*, 本橋 久彦*
横浜市立大学第1外科, 神奈川県立がんセンター外科第3科*
早期胃癌に対する迷走神経温存,幽門保存胃切除術の適応を明らかにするため,A,M領域の早期癌切除症例583例のリンパ節転移状況,および本術式は通常のD2郭清から右噴門リンパ節(No.1)と幽門上リンパ節(No.5)郭清を省略するためにこれらの部位への転移状況を検討した.リンパ節転移率はm癌1.9%,sm癌17.8%(sm1:12.5%,sm2:20.3%)であった.No.1への転移例は9例(A:3例,M:6例).No.5への転移例は4例(A:1例,M:3例)にみられ,これを組織型,肉眼型,腫瘍径,深達度からみたリンパ節転移状況にあてはめたところ,分化型ではすべてのm癌と30 mm未満のsm癌が,未分化型では隆起,混合型は症例が少なく現段階では適応から除外し,陥凹型は30 mm未満のm癌と10 mm未満のsm癌(sm1癌は30 mm未満)がわれわれの迷走神経温存,幽門保存胃切除術の適応症例と考えられた.
索引用語
lymph node metastasis for early gastric cancer, pylorus preserving gastrectomy
日消外会誌 28: 2248-2255, 1995
別刷請求先
今田 敏夫 〒232 横浜市南区浦舟町3-46 横浜市立大学浦舟病院第1外科
受理年月日
1995年9月13日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|