症例報告
胆嚢摘出,総胆管切開後総胆管に発生した断端神経腫の1例
仙丸 直人1)2), 岡島 晋1), 坂入 隆人1), 塚田 守雄1), 加藤 紘之2)
斗南病院外科1), 北海道大学第2外科2)
胆嚢摘出,総胆管切開術後に総胆管に発生した断端神経腫の1例を報告した.症例は78歳の男性.主訴は黄疸.4年前に胆嚢結石,総胆管結石の診断下に胆婁摘出,総胆管切開載石術を施行された.今回,黄疸の発現を認め経皮経肝胆道造影および胆道鏡にて精査した結果,中部胆管の狭窄と結石形成を1個認め,胆道鏡下の生検で悪性が疑われた.胆管癌の診断のもとに胆管切除,総肝管空腸吻合術を行ったが切除胆管の狭窄部壁内に大きさ1 cmの白色の腫瘤を認め病理組織学的に断端神経腫と診断された.
胆管断端神経腫はまれな疾患で本邦において30例が報告されており,胆管狭窄を呈した場合,胆管癌との鑑別は困難である.胆道系手術術に胆管狭窄を認めた場合には本症の可能性も念頭に置くべきと考えられた.
索引用語
amputation neuroma following cholecystectomy, benign biliary tract stenosis
日消外会誌 28: 2280-2284, 1995
別刷請求先
仙丸 直人 〒060 札幌市北区北14条西5丁目 北海道大学医学部第2外科
受理年月日
1995年9月13日
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