症例報告
脾原発inflammatorytory pseudotumorの1例
斉藤 功, 渡辺 健一, 高橋 周作, 米山 重人, 福島 剛, 中野 詩朗, 松下 通明*, 内野 純一*
深川市立総合病院外科, 北海道大学第1外科*
症例は69歳の男性.脳梗塞の既往があり,定期検査でアミラーゼ高値の指摘を受け精査目的に入院.超音波検査にて脾門部に直径39 mmの低エコー腫瘍が認められた.CT検査では,単純CTにて脾臓の辺縁にやや不鮮明な低吸収域が存在し,造影CTでは腫瘍部はほとんどenhanceされなかった.dynamic CTでは腫瘍部はhypovascular,delayed enhancementを認めた.MRI検査で,腫瘍はTl強調画像でhigh signal intensity area,T2強調画像でlow signal intensity areaとして認められた.Gadrinium-DTPAのdynamic studyはlatephaseでenhancementを認めた.血管造影では,明らかな腫瘍濃染は認めなかった.以上より,脾血管腫,過誤腫などを強く疑うも,悪性リンパ腫なども否定できず,手術を施行した.摘出脾内には,3.8×3.5 cmの白色隆起性病変を認めた.病理診断は,脾原発inflammatory pseudotumorであった.
索引用語
inflammatory pseudotumor, splenic tumor
日消外会誌 28: 2299-2303, 1995
別刷請求先
斉藤 功 〒074 深川市5条6番10号 深川市立総合病院外科
受理年月日
1995年9月13日
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