症例報告
下血を繰り返した小腸血管脂肪腫の1手術例
中村 順一, 中尾 量保, 宮崎 知, 仲原 正明, 荻野 信夫, 西田 俊朗, 辻本 正彦*
大阪警察病院外科, 同 病理*
血管脂肪腫は皮下に好発する有痛性の腫瘍であり,まれに肝臓や腎臓での発生も報告されている.今回,小腸原発の血管脂肪腫の1例を経験したので報告する.症例は66歳の女性である.昭和62年9月頃より年に数回,下血を認めていたが,平成4年5月に多量の下血を認め近医受診し,小腸造影にて空腸に腫瘤陰影を認め当科紹介される.小腸内視鏡検査にてTreitz靱帯より約30 cmの空腸に表面平滑な山田II型の腫瘍を認め,平成4年8月25日に空腸部分切除術を施行した.腫瘍は大きさ6.5×3.5×3.5 cm,表面平滑で一部にびらんをともなっていた.病理組織学的に脂肪組織と増生血管が混在し,血管脂肪腫と診断された.検索し得た限りにおいて本邦および海外において,消化管原発の血管脂肪腫は胃原発の血管脂肪腫の2例が報告されているのみであり,極めてまれな症例と思われた.
索引用語
small intestinal tumor, angiolipoma, benign tumor
日消外会誌 28: 2304-2307, 1995
別刷請求先
中村 順一 〒543 大阪市天王寺区北山町10-31 大阪警察病院外科
受理年月日
1995年9月13日
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