原著
肝切除術後の高ビリルビン血症の病態―胆汁中ビリルビン亜分画分析とその意義―
石山 秀一, 布施 明, 田中 丈二, 浦山 雅弘, 五十嵐 幸夫, 須藤 幸一, 平井 一郎, 塚本 長
山形大学第1外科
肝切除術後の黄疸の病態を解明するために胆汁中のビリルビン亜分画を高速液体クロマトグラフィー法にて分析した.胆道癌切除21例のうち非肝切除8例を対照群,肝切除例で術後2週後にも血清総ビリルビン値が2 mg/dl以下にならなかった5例を黄疸群,その他8例を非黄疸群とした.胆汁は胆汁外瘻より経日的に採取した.術後3群とも第1日目にbilirubin diglucuronide(BDG)が減少し,それに対応してbilirubin monoglucuronide monoglucosideおよびmonoxyloside(BGG+BGX)が増加した.この変化の大きさは対照群<非黄疸群<黄疸群で,対照群,非黄疸群では5~7日目にはほぼ術前値に復したが黄疸群では2週後にも有意の差を示した.抱合酵素の異常あるいは基質の変化によって,BDGからより親水性の弱いBGG+BGXの割合が増加するために肝細胞膜からの分泌輸送が阻害され,黄疸が遷延するものと考えられた.ビリルビン亜分画は肝切除術後黄疸の病態把握によい指標となりうると思われた.
索引用語
hyperbilirubinemia, bilirubin conjugates, hepatectomy, bile duct cancer, high performance Iiquid chromatography
別刷請求先
石山 秀一 〒990-23 山形市飯田西2丁目2-2 山形大学医学部第1外科
受理年月日
1995年9月13日
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