原著
消化器外科術後早期の末梢血好中球数の意義―血中サイトカイン・臓器障害との関連―
村上 義昭, 横山 隆*, 今村 祐司, 児玉 節, 竹末 芳生, 山東 敬弘, 新原 主計, 津村 裕昭, 立本 直邦, 松浦 雄一郎
広島大学第1外科, 同 総合診療部*
食道癌,胃癌,消化管穿孔性腹膜炎症例各10例を対象として,術後早期の末梢血好中球数(PMN)と血中サイトカイン値(granulocyte colony-stimulating factor(G-CSF),interleukin 8(IL-8))・臓器障害の関連について検討を行った.術後4時間後のPMNが7,000/mm3未満の群(L群)は,7,000/mm3以上の群(H群)に比べ,有意に(p<0.01)高率に臓器障害が認められ,有意に(p<0.01)術後早期の血中サイトカイン値の高値が認められた.術後4時間後のPMNと臓器障害度および血中サイトカイン最高値との間には有意な(p<0.05)相関が認められた.以上より,術後早期にPMNが低値を推移する症例は,高サイトカイン血症により過剰な刺激を受けたPMNが組織に遊出することにより臓器隔害が発生することが推測され,術後早期の末梢血好中球数は術後の臓器障害を予測する指標となることが示唆された.
索引用語
peripheral polymorphonuclear leukocyte counts, organ dysfunction, granulocyte colonystimulating factor, interleukin 8, systemic inflammatory response syndrome
別刷請求先
村上 義昭 〒734 広島市南区霞1-2-3 広島大学医学部第1外科
受理年月日
1995年9月13日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|