症例報告
腹腔鏡下胆嚢摘出術後,クリップの迷入による総胆管結石症の1例
高橋 英雄, 横井 健二, 和田 真也, 大和 太郎, 宮本 直樹, 東出 慎治, 魚津 幸蔵, 長谷川 洋, 関川 博
富山赤十字病院外科
症例は79歳の男性.黄疸を主訴に来院となった.7か月前に胆石症に対し,当科で腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けている.入院時血液検査では,肝機能障害ならびに胆道系酵素の上昇を認めた.腹部超音波検査では肝内胆管,総胆管の拡張像を,また腹部CTでは下部総胆管にmetallic densityを認めた.PTCD造影にて総胆管内に2個の結石様陰影欠損を認め,内部に明らかにクリップとわかる像が計3個見られた.治療として,2回にわたる内視鏡的乳頭切開術ならびに砕石バスケット鉗子を用いた結石除去術を行い,結石を摘出した.結石は比較的軟らかいビリルビン系結石で,3個のクリップのうち1個を回収しえた.文献上,きわめてまれな合併症であるが,腹腔鏡下胆嚢摘出術の普及にともない,今後ふえてくるものと予想され,念頭におくべきと考えられる.
索引用語
postoperative complication, laparoscopic cholecystectomy, aberrant surgical clip
別刷請求先
高橋 英雄 〒930 富山市東田地方町1-5-25 富山赤十字病院外科
受理年月日
1995年9月13日
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