卒後教育セミナー
消化器外科領域の術後合併症とその対策―胃全摘術―
沢井 清司
京都府立医科大学第1外科
胃全摘術を安全に行うためのこつは,適切な到達法と吊上げ鈎による良好な術野の確保,基本に忠実な再建手技,効果的なドレナージである.食道空腸吻合の第1選択は器械吻合でよいが,器械不調のときのため手縫い吻合もマスターすべきである.術直後の出血には再開腹,2次的な出血には動脈塞栓術が有効である.縫合不全は,透視にて部位,程度,ドレナージ効果を診断することが重要である.ドレナージ不良の場合には,エコー下,CT下または開腹により確実なドレナージを行えば治癒する.膵瘻も確実なドレナージを行うことが重要で,大出血には動脈塞栓術が有効である.イレウスは麻痺性,絞扼性などを診断し,単純性の場合はイレウス管留置など保存療法を試みる.術後胆嚢炎で保存療法が無効な場合は,経皮経肝胆嚢ドレナージを行う.腹腔内膿瘍は超音波検査,CT検査にて診断し,エコー下,CT下の穿刺ドレナージまたは開腹ドレナージを行う.
索引用語
gastric cancer, postoperative complication, total gastrectomy
別刷請求先
沢井 清司 〒602 京都市上京区河原町広小路 京都府立医科大学第1外科
受理年月日
1995年11月16日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|