特別講演
膵頭部癌の根治手術―神経浸潤を中心に―
宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
膵頭部癌痛における根治手術について神経浸潤を中心に述べた.病理組織学的検索をもとに1973年より郭清範囲を広げ,1977年にはtranslateral retroperitoneal approachによる膵頭部癌の拡大手術を開発した.膵癌根治手術のうえで重要な神経浸潤の成立機序ならびに進展様式,神経浸潤と臨床病理学的諸因子との関連に加え,膵後方浸潤の詳細な検索結果について述べた.膵後方浸潤の3次元解析によると,浸潤様式は浸潤方向による差異がみられることが明らかになるとともに,とくに神経浸潤は上腸間膜動脈方向に強くみられることが判明した.また,正常例における上腸間膜動脈周囲組織構造検索結果より,神経叢温存リンパ節郭清の可能性についても述べたが,現時点では膵癌の根治手術という点からは神経叢完全切除は不可欠な要因であることを強調した.
索引用語
pancreatic cancer, radical resection, neural invasion, plexus invasion, retropreitoneal invasion
別刷請求先
宮崎 逸夫 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1995年11月15日
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