症例報告
胸部食道癌再建胃管に発生した胃癌の2切除例
香川 佳寛, 多幾山 渉, 佐伯 俊昭, 高嶋 成光, 万代 光一*
国立病院四国がんセンター臨床研究部(外科), 同 病理*
近年,食道癌切除後長期生存例の増加に伴い,再建胃管に発生する重複癌(胃管癌)が問題となってきた.当科でも最近2例の胃管癌切除症例を経験したので報告する.症例1は65歳の男性でEiEaの全周性3型食道癌に対し右開胸食道亜全摘,後縦隔経路胃管再建を施行し,その5年後に再建胃管に3型胃癌(低分化腺癌,P1(胸膜),H0,M0,n1,se,stage V)を認め,胃管切除術を施行した.症例2は50歳の男性でImのO-Ipl型食道癌に対し右開胸食道亜全摘,後縦隔経路亜全胃再建を施行し,その5年半後に再建胃管に3型胃癌(低分化腺癌,P0,H0,M0,n1,ss,stage II)を認め,胃管切除術を施行した.2例とも右開胸を施行したが,胸腔内の癒着が非常に強く,胃管切除は困難をきわめた.再建は有茎空腸を使用し後縦隔経路で行った.食道・胃重複癌の発生頻度は我国では比較的高く,食道癌切除後胃管再建の場合には胃管癌の発生に十分注意した経過観察が予後向上に必要である.
索引用語
esophageal cancer, carcinoma of the reconstructed gastric tube, rote of the reconstruction for a esophageal cancer
別刷請求先
香川 佳寛 〒790 松山市堀之内13 国立病院四国がんセンター外科
受理年月日
1995年10月11日
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