症例報告
早期食道癌をともない肝転移との鑑別を要した肝過誤腫(microhamartoma)の1例
高橋 徹也, 渡会 伸治, 望月 弘彦, 仲野 明, 大木 繁男, 嶋田 紘
横浜市立大学第2外科
症例は56歳の女性.心窩部痛の精査中,内視鏡で早期食道癌と診断された.術前CTで肝右葉を中心に多数の低吸収領域を認め,超音波でも低エコー領域と高輝度な点状エコーの混在した像を認めた.肝生検でも確定診断はつかず,肝転移を否定できないまま手術を施行した.手術所見では肝表面に径1~3 mm大の黄白色の結節を多数認め,迅速病理組織診で良性の肝過誤腫(microhamartoma)と診断された.
本症は比較的まれな疾患で本邦における報告例は少ない.本疾患は自覚症状がなく臨床的に異常を引き起こすことはないが,画像上びまん性肝細胞癌や多発性肝転移との鑑別が問題となる.超音波検査では低エコー領域と高輝度な点状エコーの混在した不均一な像,CTではenhanceされない微細な低吸収領域が画像上の特徴である.
索引用語
microhamartoma, von Meyenburg's complexes
別刷請求先
高橋 徹也 〒236 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学第2外科
受理年月日
1995年10月11日
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