症例報告
持続温熱腹膜灌流療法が有効であった腹膜偽粘液腫の1例
水田 誠, 谷 尚, 岩井 宣健, 宮野 陽介, 和又 利也
公立八鹿病院外科
虫垂の粘液嚢胞腺癌より発症した腹膜偽粘液腫に対して,原発巣切除に引き続きその再発予防を目的として,持続温熱腹膜灌流療法 (continuous hyperthermic peritoneal perfusion:CHPP)を施行し,良好な成績を得たので報告する.症例は74歳の男性で,下腹部膨満感を主訴に受診した.虫垂粘液嚢胞腺癌を原発とする腹膜偽粘液腫で,手術にて原発巣の切除と腹腔内のゼラチン様物質の除去を行った.術後に,45℃に力加温した生理食塩水10,000 mlを左横隔膜下のドレーンよリイルリゲーターを用いて腹腔内に注入し,ダグラス窩および回盲部のドレーンより排出することにより灌流を行った.1回の灌流時間は1時間とし,術後数回CHPPを施行した.術後5年以上ゼラチン様物質の再貯留を認めておらず,CHPPが腹膜偽粘液腫の再発予防に有効であると考えられた.
索引用語
pseudomyxoma peritonei, cystadenocarcinoma of the appendix, continuous hyperthermic peritoneal perfusion
別刷請求先
水田 誠 〒667 兵庫県養父郡八鹿町八鹿1878の1 公立八鹿病院
受理年月日
1995年10月11日
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