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第29巻 第4号 1996年4月 [目次] [全文 ( PDF 529KB)]
症例報告

穿通性病変をきたし後腹膜膿瘍を形成した十二指腸Crohn病の1例

斎藤 智裕, 佐伯 俊雄, 斎藤 素子, 野本 一博, 田沢 賢次

不二越病院外科, 富山医科薬科大学第2外科

 症例は40歳の男性.1992年6月痔瘻根治手術を施行後,臍周囲部痛のため3回にわたり入退院を繰り返した.1993年6月,発熱,臍下部腫瘤を主訴に再入院.小腸造影検査にて回腸に区域性狭窄像およびcobblestone様の結節性隆起性病変の集簇を認め,回腸Crohn病と診断した.また,Computed tomographyでは臍下部下大静脈腹壁側に内部不均一な腫瘤性病変を認め,回腸穿孔による腹腔内膿瘍を疑い手術を行った.術中所見では小腸腸間膜の根部に後腹膜膿瘍が存在し,膿瘍内腔は後腹膜下で十二指腸水平部と交通を認め,十二指腸水平部に穿通性潰瘍をきたしたCrohn病と診断.十二指腸部分切除術,回腸および回盲部切除術を施行した.Crohn病のduodenal involvementの本邦報告例は自験例を含め30例を数えるのみであるが,十二指腸水平部に穿通性病変をきたし後腹膜膿瘍を形成した症例は,われわれが検索しえたかぎり,本症例が第1例目であり,きわめてまれであるので報告した.

索引用語
duodenal involvement of Crohn's disease, penetration of duodenum, retroperitoneal abscess

日消外会誌 29: 819-823, 1996

別刷請求先
斎藤 智裕 〒930-01 富山市杉谷2630 富山医科薬科大学医学部第2外科

受理年月日
1995年12月6日

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