症例報告
肝原発腺表皮癌の3切除例
繁光 薫, 三村 哲重, 赤在 義浩, 岡本 康久, 戸田 耕太郎, 木村 秀幸, 大原 利憲, 筒井 信正, 広瀬 周平, 片岡 和男
岡山済生会総合病院外科
肝原発腺表皮癌はまれな疾患であり,切除例の報告は少ない.今回,私達は切除しえた肝原発腺表皮癌の3例を経験し,本疾患の臨床病理学的特徴を検討したので報告する.
症例1は57歳の女性で,左葉切除を行った.腫瘍径は15×13.5×9 cmで,4か月後に残肝再発にて死亡した.
症例2は74歳の女性で,左葉・尾状葉切除を行い,腫瘍径は7×7×5 cmであった.術後11週目に再発死亡した.
症例3は68歳の男性.拡大右葉・尾状葉切除,門脈合併切除を行った.腫瘍径は4×3 cmで術後3か月めに骨転移にて死亡した.
肝原発腺表皮癌は,急速に増大する性質を有しており,リンパ節転移をきたしやすく,予後はきわめて不良で,治療に難渋することが多い.治療成績の改善に対しては,今後症例を重ねて検討すべき問題であろう.
索引用語
hepatocellular carcinoma, adenosquamous carcinoma of the liver
別刷請求先
繁光 薫 〒792 新居浜市北新町1-5 十全総合病院外科
受理年月日
1995年12月6日
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