無黄疸早期胆管癌の1例

長濱　正吉, 古川　正人, 中田　俊則, 酒井　敦, 宮下　光世, 三根　義和, 佐々木　誠, 近藤　敏, 奥濱　幸博, 八坂　貴宏, 中平　孝明

国立長崎中央病院外科

　胆管癌は早期診断が困難である．今回，我々は無黄疸で粘膜内にとどまる35×50 mm大の早期胆管癌癌の1例を経験したので報告する．症例は82歳の女性で，嘔気を主訴に当院に入院した．黄疸はなく肝機能障害（LAP，γ-GTPの上昇）と腹部USで肝外胆管の拡張と胆管内の腫瘤を認めた．また経皮経肝的胆管造影では中部胆管に径約45 mmの陰影欠損像を認めたが，不完全閉塞であった．開腹術を施行し，腹腔内所見では腹水やリンパ節の腫大は明らかでなかった．胆嚢摘出術，肝外胆管切除術およびRoux-en-Y再建による肝管空腸吻合術を施行した．腫瘍は35×50 mm大で病理組織学的検査では胆管内の乳頭状腫瘤で，粘膜内にとどまる乳頭腺癌であった（Bm-Bs-C，m，hinf₀，ginf₀，n₁（-），Stage I）．患者は術後13か月を経過し，再発の兆候なく健在である．

索引用語
early bile duct carcinoma, no jaundice, papillary adenocarcinoma

別刷請求先
長濱　正吉　〒856　大村市久原2-1001-1　国立長崎中央病院外科

受理年月日
1995年12月6日

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