症例報告
虫垂憩室症の4例
平野 貞夫, 小熊 信, 松田 好郎, 阿南 陽二
宮城厚生協会坂総合病院外科
虫垂憩室症の4例を経験したので報告する.症例は35歳から64歳までの男性で,主訴はすべて右下腹部痛であった.そのため4例とも急性虫垂炎の診断のもとに開腹手術が施行された.ところが病理所見では症例1は本来の虫垂内腔とは別に,粘膜に囲まれた腔があり,強い炎症を伴っていたことから虫垂憩室炎と診断された.症例2では軽い急性虫垂炎とともに強い仮性虫垂憩室の炎症が認められた.症例3は急性虫垂炎であったが,それとともに仮性憩室が1個認められた.症例4では虫垂仮性憩室に炎症が認められた.憩室炎の存在は,本来の虫垂粘膜での病変が不明瞭な場合,切り出しの追加により確認されることがあった.したがって憩室炎の確認のためには,虫垂周囲の炎症が強いにもかかわらず,急性虫垂炎の組織像が不明瞭な場合,盲腸周囲炎と診断せず,虫垂全体の病理組織像を調べることが重要であると思われる.
索引用語
diverticulum of the appendix, diverticulitis of the appendix
別刷請求先
平野 貞夫 〒985 塩釜市錦町16-5 坂総合病院外科
受理年月日
1955年11月15日
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