臨床経験
教室における各種膵腸吻合法の合併症に関する一考察
萱原 正都, 永川 宅和, 荒川 元, 八木 治雄, 二上 文夫, 長森 正則, 北川 裕久, 太田 哲生, 上野 桂一, 宮崎 逸夫
金沢大学第2外科
各種膵腸吻合法とその合併症ならびに腹腔内持続吸引ドレナージ法(continuous intraabdominal suction drainagei:CISD)の有用性について膵腸吻合143例(膵頭部癌66例,胆管癌40例,乳頭部癌32例,胆嚢癌5例)を対象に検討した.膵嵌入(I)法が20例,漿膜筋層切開膵管挿入(II)法が22例,非切開膵管挿入(III)法が48例,膵管空腸吻合(IV)法が53例であった.膵液漏出はI,II,III,IV法でそれぞれ20%,21%,0%,13%,縫合不全は25%,14%,6%,4%とIII,lV法の成績が良好であった.膵液漏出は胆道癌で21%,膵癌で6%,縫合不全はそれぞれ14%,5%と有意(p<0.05)に膵癌で低率であった.2か月以内の早期死亡はI,II,III,IV法でそれぞれ25%,14%,12%,6%であり,IV法で早期死亡が少なかった.また,CISD未施行群では膵液漏出や縫合不全例で早期死亡が多かったが,CISD施行群では膵液漏出,縫合不全と早期死亡との相関はなかった.以上より,膵管空腸吻合法とCISD法は膵空腸吻合法の合併症軽減に有用と考えられた.
索引用語
pancreatojejunostomy, leakage of anastomosis, continuous intraabdominal suction drainage
別刷請求先
萱原 正都 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1995年12月6日
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