特集
自験例生体肝移植の問題点と予後からみた今後の展望
橋本 俊, 清水 保延, 音部 好宏, 中村 善則, 伊藤 浩一, 松尾 洋一, 上田 修久, 佐藤 幹則, 中村 司, 鈴木 達也, 小野 雅之, 田中 守嗣, 林 周作, 花井 拓美, 真辺 忠夫
名古屋市立大学第1外科
生体肝移植を伴った胆道閉鎖症8例,Alagille症候群2例,劇症肝炎1例,成人Primary sclerosing cholangitis 1例の計12例に手術の間隔を含め合併症と予後から問題点および今後の可能性につき検討した.小児3例と成人の1例が血液型不適合移植,1例が適合間移植で,残りが同型移植であった.手術の間隔は3~6か月で11例は予定手術で,1例のみが準緊急手術として行われた.主たる合併症は拒絶反応,血栓症,感染症で,重篤な感染性合併症の原因は血栓症に基づく肝不全と考えられた.不適合肝移植の2例の他3例の計5例が死亡した.生存7例は9か月から4年を経過し,免疫抑制剤はいずれも単独CYA 4例,FK 3例である.うち2例が低濃度の薬剤量にてなんら異常なく経過している.血液型不適合症例は2例ともO型で,非抗ドナー型抗体価は術前値より低下なく経過したのに対し,抗ドナー型抗体価は肝移植後に低下し,現在1例は4倍,他の1例は2倍である.
索引用語
living related liver transplantation, complication, prognosis
別刷請求先
橋本 俊 〒467 名古屋市瑞穂区瑞穂町川澄1 外古屋市立大学第1外科学教室
受理年月日
1995年11月15日
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