特集
わが国における死体肝移植離陸の条件
矢永 勝彦, 西崎 隆, 副島 雄二, 吉住 朋晴, 内山 秀昭, 杉町 圭蔵, 森本 修充1), 柏木 征三郎2)
九州大学医学部第2外科, 精神科1), 総合診療部2)
死体肝移植の施設特定を受けた本学での患者13人の登録と現況を呈示し,わが国における死体肝移植離陸への条件を述べる.登録13人中5人が待機中に死亡,3人が海外渡航し,1人は飲酒再開にて登録抹消した.C型肝硬変症の1人は27か月の待機の後,多臓器不全への移行期に本学で血液型不適合移植を行うも,術後73日目に死亡した.肝細胞癌合併患者では待機中のquality of lifeが明らかに不良であった.現在3人が待機中で,うち2人はcounselingが精神面の管理に効果的であった.わが国の現状では死体肝移植の登録は患者に精神的余裕がある時期に行うのが良く,肝細胞癌合併例ではStage Iでコントロール可能な場合に限るべきと考える.また,精神科医の治療への参加は極めて有用である.さらには病状の終末化,癌進展,飲酒再開などに備え,登録抹消基準の明確化が重要である.
索引用語
liver transplantation, requirement, transplant center
別刷請求先
矢永 勝彦 〒812-82 福岡市東区馬出3-1-1 九州大学医学部第2外科
受理年月日
1995年11月15日
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