画像解析手法の移植病理への応用：小腸移植の保存に伴う傷害と粘膜修復の関連性

中村　賢二郎, 田中　雅夫, 中房　祐司, 亀井　隆史, 池松　秀之^{1）, 2）}

九州大学第1外科, 九州大学医学部総合診療部^1）, 原土井病院臨床研究部^2）

　小腸グラフトの冷保存による組織傷害と移植後の粘膜修復の相互関係を画像解析手法で明らかにした．0，6，12時間冷保存グラフト（n=9）でラット小腸移植を行い，再灌流時にbromodeoxyuridine（BrdU）を投与してS期細胞の核を標識した．移植後1，24，48時間のグラフト小腸粘膜を組織学的，免疫組織化学的に検索し，コンピュータ画像解析はMacintosh，NIH Imageを用いて行った．組織傷害は再灌流後に明らかで，保存時間が長いほど高度だった．画像解析では，移植後1時間のBrdU標識率および移植後24，48時間の標識細胞の上皮列内移動速度はともに，6，12，0時間保存群の順で有意に大きかった．以上より，小腸保存に伴う傷害は，陰窩の細胞増殖を刺激して粘膜修復を促進するが，傷害が大きすぎるときはその刺激に対する増殖反応が減弱することを意味する．このように新しい画像解析手法は，今後移植病理の分野でも応用可能である．

索引用語
computer morphometry with NIH image on Macintosh, preservation and reperfusion injury in small bowel transplantation, labeling with bromodeoxyuridine

別刷請求先
中村賢二郎　〒812-82　福岡市東区馬出3-1-1　九州大学医学部第1外科

受理年月日
1995年12月6日

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