原著
胃癌におけるproliferating cell nuclear antigenおよびc-met遺伝子産物発現の意義
田中 賢一, 中村 毅, 中江 史明, 斎藤 洋一
神戸大学医学部第1外科
我々は胃癌組織におけるc-met遺伝子産物,proliferating cell nuclear antigen(PCNA)を免疫組織学的に比較検討した.PCNAは組織型,腫瘍径,深達度,脈管侵襲,Stageとの関連を認めた.c-metは,深達度,脈管侵襲,Stageとの関連を認めた.c-metとPCNAとの関係を検討すると,PCNA高値群でc-met陽性例が多かった.c-met陰性群においては,n(-)例,v0,1例でPCNA低値群が多かった.PCNA高値でc-metが陽性の群とPCNA低値でc-metが陰性の群に分けると,前者の群にそれぞれ深達度,リンパ節転移,脈管侵襲,Stageが進んだ例が多かった,c-met,PCNAともに臨床病理学的予後規定因子と相関しており,腫瘍の発育進展を反映する因子と考えられた.また,c-metとPCNAを併せて検討することにより,さらに詳細な悪性度判定が可能になると考えられた.
索引用語
gastric cancer, c-met proto-oncogene product, proliferating cell nuclear antigen
日消外会誌 29: 1603-1609, 1996
別刷請求先
田中 賢一 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1996年2月14日
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