症例報告
Kasabach-Merritt症候群を里した肝血管肉腫の1症例
森田 哲史, 東野 健, 中川 英刀, 福田 和弘, 辛 栄成, 三嶋 秀行, 柳生 俊夫, 小林 研二, 小林 哲郎, 吉川 宣輝
国立大阪病院外科
症例は61歳の女性,検診の腹部エコーで肝腫瘤を指摘され当科紹介となった.腹部computed tomographyにて肝海綿状血管腫と診断したが,9か月後に胸腹部痛が出現し画像上肝腫瘤の増大を認め入院となった.腹部血管造影ではcotton-wool like appearanceに加え腫瘍濃染像を認め,magnetic resonance imaging T2強調画像ではhigh intensityとlow intensityが不均一に混在しており肝血管肉腫と診断した.治療としてtranscatheter arterial embolization(以下TAEと略記),interleukin-2(以下,IL-2と略記)の肝動注およびステロイドの投与を行い一時的であったが症状の改善を認めた.その後再度増悪し症状発現より約4か月で死亡した.剖検では肝右葉の大部分が暗赤色結節状の腫瘍で占められ,組織学的に肝血管肉腫と診断された.肝血管肉腫の治療は肝切除が第1選択であるが切除不能例にはTAE,I1-2の肝動注,ステロイドの投与を試みる価値があると思われる.
索引用語
hepatic hemangiosarcoma, transcatheter arterial embolization, steroid therapy
日消外会誌 29: 1663-1667, 1996
別刷請求先
森田 哲史 〒540 大阪市中央区法円坂2-1-14 国立大阪病院外科
受理年月日
1996年2月14日
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