症例報告
胆嚢仮性動脈層の1例
松葉 芳郎, 鈴木 正敏, 小野 由雄
国家公務員等共済組合連合会三宿病院消化器外科
胆道出血(Hemobiliha)を呈する疾患のなかでも胆嚢由来のものはまれである.今回我々は,胆嚢頸部嵌頓結石による胆嚢潰瘍で生じたCystic artery pseudoaneurysmを経験したので,文献的考察を加え報告した.患者は72歳の女性.腹痛,嘔吐を主訴に近医受診.USにて胆嚢頭部嵌頓胆石症と診断され,当院緊急入院となった.経過中に吐血,下血はなかった.入院時検査では肝胆道系酵素の軽度上昇とビリルビンの上昇を認めた.入院後のUSにて胆嚢頸部に中心に拍動を伴う腫瘤を描出,CT,Angiographyにて胆嚢動脈瘤の診断を得た.入院後2日目に開腹胆嚢摘除術,総胆管切開T-tube外瘻術を施行した.摘出胆嚢の頸部には全層性潰瘍が存在し,潰瘍底には露出した胆嚢動脈とpseudoaneurysmを確認した.
索引用語
cystic artery pseudoaneurysm, gallbladder ulcer, hemobilia
日消外会誌 29: 1673-1677, 1996
別刷請求先
松葉 芳郎 〒153 目黒区上目黒5-33-12 国家公務員等共済組合連合会三宿病院消化器外科
受理年月日
1996年2月14日
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