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第29巻 第7号 1996年7月 [目次] [全文 ( PDF 454KB)]
症例報告

胆嚢癌と胆嚢カルチノイドを併存した1例

佐藤 智丈, 井手 達, 森田 哲生, 伊藤 俊哉

松浦市民病院外科, 長崎大学医療技術短期大学部

 胆嚢癌と胆嚢カルチノイドが異所性に併存した1例を経験した.胆嚢カルチノイドは,過去56例の報告があり,この内カルチノイドと胆嚢癌が異所性に合併したものは極めてまれである.患者は呼吸困難で受診し,肺炎の診断で入院した.抗生剤の投与にて肺炎は軽快したが,肝機能障害があり,精査にて胆嚢頸部に隆起性病変を認め胆嚢癌と診断した.手術は胆嚢摘出術と所属リンパ節郭清を行い,切除標本で胆嚢頸部に乳頭型の隆起性病変と胆嚢底部に平坦な隆起性病変を認めた.病理組織学的検索では,頸部の病変はadenocarcinomaであり,深達度はm,リンパ節転移は陰性であり,底部の病変はcarcinoid tumorで,粘膜上皮直下から筋層内にかけて局在していた.患者は術後10カ月経過した現在,再発の徴候なく良好に経過している.

索引用語
gallbladder carcinoma, gallbladder carcinoid

日消外会誌 29: 1678-1682, 1996

別刷請求先
佐藤 智丈 〒840-22 佐賀県佐賀郡川副町大字南里372-1 さとうクリニック

受理年月日
1996年2月14日

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