症例報告
脾動脈瘤を合併した多発性脾過誤腫の1例
木下 貴之, 窪地 淳, 松井 英男, 大石 崇, 磯部 陽, 奥田 誠, 池内 駿之, 島 伸吾
国立東京第二病院外科
症例は57歳の女性.健康診断の腹部超音波検査で脾腫瘍を指摘され,当院に入院となった.入院時現症,既往歴,家族歴,血液検査所見では特に異常を認めず.腹部超音波検査およびCT検査にて,脾内に多数の低エコーまたは低吸収域を認め,造影CTでは均一に造影された.MRIでは,脾内にT1強調で等信号,T2強調でやや高信号,造影剤meglumine gadopentetate(Gd-DTPA)投与後,わずかに造影される領域を認めた.腹部血管造影で脾動脈は著明に拡張・屈曲しておリ一部に動脈瘤を形成し,動脈相において一挙に中心まで染まる腫瘤を多数認めた.手術は脾動脈瘤を含め脾臓摘出術を行った.摘出標本では脾臓実質に,境界明瞭で被膜を伴わない白色の充実性腫瘍を多数認めた.病理組織学的検索で,血管内皮細胞の増殖主体の赤陣髄過誤腫との確診を得た.また,同時に摘出した副脾にも同様の過誤腫を認めた.
索引用語
splenic hamartoma, splenic aneurysm, magnetic resonance image
日消外会誌 29: 1683-1687, 1996
別刷請求先
木下 貴之 〒152 目黒区東が丘2-5-1 目立東京第二病院外科
受理年月日
1996年2月14日
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