症例報告
Pagetoid spreadを伴った肛門管癌の1切除例
小玉 正太, 平井 孝, 加藤 知行, 巻渕 弘治, 藤光 康信, 紀藤 毅
愛知県がんセンター消化器外科
症例は47歳の男性.肛門出血および腫場の肛門からの脱出を主訴として,平成6年8月1日近医を受診.平成6年8月18日,経肛門的腫瘍摘出術を施行された.平成6年9月12日当科入院.摘出標本上,高分化腺癌(mp)から,肛門粘膜上皮内にpagetoid spreadを認めたため,肛門周囲の皮膚生検を系統的に施行し,浸潤範囲を同定した.腹会陰式直腸切断術施行後1年4か月が経過したが,再発徴候なく外来通院中である.
肛門管癌に合併した肛門周囲Paget病変は極めてまれで,文献上著者が検索しえた限りでは,自験例を含めて9例の報告のみである.また根治術施行前に肛門周囲の浸潤範囲を同定しえた報告は,検索しえた限り自験例のみであり,文献的考察を加え報告した.
索引用語
anal canal cancer, skin biopsy, perianal pagetoid spread
日消外会誌 29: 1706-1710, 1996
別刷請求先
小玉 正太 〒464 名古屋市千種区鹿子殿1番1号 愛知県がんセンター消化器外科
受理年月日
1996年2月14日
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