原著
膵頭部領域癌におけるリンパ節転移からみた全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術の適応
原 均, 岡島 邦雄, 磯崎 博司, 森田 真照, 石橋 孝嗣, 秋元 寛, 仁木 正己
大阪医科大学一般・消化器外科
膵頭部領域癌のリンパ節転移状況と旁胃壁リンパ節転移症例につき検索し,全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除(以下,PpPD)の適応を検討した.過去16年間でD2以上のリンパ節郭清を施行し術後病理組織検査が十分になされた膵頭部領域癌56例を対象とした.リンパ節転移が高率であったのは,膵頭部癌では浸潤型・十二指腸浸潤例,乳頭部癌では潰瘍腫瘤型・膵浸潤例,下部胆管癌では浸潤型・膵浸潤例であった.組織型では,中・低分化型例のリンパ節転移率が高率であった.旁胃壁リンパ節転移は膵癌3例,下部胆管癌1例で,乳頭部癌には認めなかった.膵癌の3例はすべて浸潤型で十二指腸第2部への浸潤陽性例であった.下部胆管癌の1例は膵浸潤のある結節浸潤型で低分化型であった.また,十二指腸第1部および胃への癌の直接浸潤は認めなかった.以上より,膵頭部領域癌に対するPpPDの適応は,十二指腸浸潤のない膵頭部癌,乳頭部癌,膵浸潤のない下部胆管癌と考えられた.
索引用語
cancer in the pancreatic head region, pylorus preserving pancreatoduodenectomy, lymph node metastasis, paragastric lymph node metastasis
日消外会誌 29: 1754-1759, 1996
別刷請求先
原 均 〒569 高槻市大学町2-7 大阪医科大学・一般消化器外科
受理年月日
1996年4月3日
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