原著
リンパ節転移よりみた大腸sm癌の治療方針
岡本 春彦, 酒井 靖夫, 斎藤 英俊, 島村 公年, 村上 博史, 瀧井 康公, 須田 武保, 畠山 勝義
新潟大学第1外科
内視鏡的摘除術の役割に重点おき,大腸腺腫・早期癌の治療方針をsm癌のリンパ節転移の有無に基づいて検討した.リンパ節郭清を含む腸切除術が施行されたsm癌146病変のうちリンパ節転移は15病変10.3%に認められたが,深達度smlaの全病変および大きさ15 mm未満の有茎・亜有茎性病変にリンパ節転移は認められなかった.有茎・亜有茎性では深達度smlで大きさ15 mm未満かつ脈管侵襲陰性の病変,無茎性では深達度smlaで脈管侵襲陰性の病変にリンパ節転移の危険性は極めて低く,内視鏡的切除術による根治的治療が可能であると考えられた.臨床的には,腺腫,早期癌を鑑別できなくとも有茎・亜有茎性病変に対しては積極的に内視鏡的切除術を施行すべきであるが,無茎性病変には初回治療として手術が選択されるべき病変も多いため,正確な深達度診断に基づいた治療方針が重要であると考えられた.
索引用語
submucosal invasive cancer, treatment for early colorectal cancer, endoscopic resection, lymoh node metastasis of colorectal cancer
日消外会誌 29: 1760-1767, 1996
別刷請求先
岡本 春彦 〒951 新潟市旭町通1-757 新潟大学医学部第1外科
受理年月日
1996年4月3日
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