多発性コレステリン肉芽腫を伴った肝内コレステロール結石症の1例

上田　順彦, 小西　一朗, 吉光　裕, 太田　長義, 角谷　直孝, 廣澤　久史, 泉　良平, 広野　禎介

富山市民病院外科

　多発性コレステリン肉芽腫を伴った肝内コレステロール結石症の1例を報告した．患者は68歳，男性．総胆管結石および肝外側区域に限局した肝内結石症と診断し手術を施行した．総胆管内の2個の結石は混合石であった．肝外側区域の切除標本ではB2，B3の枝に鋳型状に混合石がはまり込んでいた．また肝切離断端近くの肝実質には小結節性病変が多発し癒合していた．病理組織学的には結石含有胆管にはコレステロール成分による針状結晶を認め，胆管周囲にはコレステリン肉芽腫を認めた．小結節性病変の部分は線維化を伴った強い慢性炎症からなリコレステリン結晶やコンステリン肉芽腫が多数散在していた．この成因として結石の存在により肝外側区域に強い胆管炎を繰り返し，小胆管の破壊により胆汁中のコレステリン結晶がばらまかれ，その炎症の修復結果として形成されたと推測された．なお一部の隔壁性胆管の被覆上皮に高度異型を認めた．

索引用語
cholesterol hepatolithiasis, cholesterin granuloma, dysplasia of the bile duct epithelium

別刷請求先
上田　順彦　〒939　富山市今泉292　富山市民病院外科

受理年月日
1996年3月6日

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