症例報告
肝内結石症を伴った先天性胆嚢欠損症の1例
広瀬 由紀, 田中 猛夫, 城崎 彦一郎, 松下 利雄, 山本 広幸, 田中 文恵, 佐藤 史顕, 小柴 貴明, 土居 幸司
福井赤十字病院外科
肝内結石症を伴う胆嚢欠損症を経験したので,詳細を検討しえた胆嚢欠損症の本邦報告例96例の集計結果とともに報告する.症例は59歳の男性で,特に症状はないが検診にて胆石症を疑われ精査を行った.肝内結石症と慢性萎縮性胆嚢炎と診断され,手術を施行するが,胆嚢は認められず,拡張した総胆管と胆嚢管の遺残と思われる小隆起を認めるのみで,肝亜区域切除のみを行った.集計しえた96例のうち73例において,総胆管非拡張は24例(32.8%),総胆管拡張例は26例(35.6%),総胆管拡張に総胆管結石を認めた例は23例(31.5%)であり,また非拡張例の平均年齢は41.3歳,拡張例は55.6歳そして結石合併例は60.4歳であり,非拡張例と,拡張例あるいは結石合併例との間には有意に年齢の差を認めた.また96例の胆嚢欠損症のうち,肝内結石症を認めた症例は自験例を含めわずか6例であり,きわめて稀な症例と思われた.
索引用語
the absence of the gallbladder, intrahepatic cholelithiasis
日消外会誌 29: 1802-1806, 1996
別刷請求先
広瀬 由紀 〒910 福井市月見2丁目4-1 福井赤十字病院外科
受理年月日
1996年3月6日
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