卒後教育セミナー
膵腫瘍の縮小手術
今泉 俊秀
東京女子医科大学消化器外科
膵腫瘍に対する縮小手術について自験例を基に検討した.膵腫瘍に対する縮小手術の目的は,根治性を損なうことなく腫瘍の完全切除を行い同時に膵・消化器機能の温存を図ることである.その手術手技の要点は,リンパ節郭清を伴うことなく,膵周囲への進展がなければ膵病変のみの小切除で,膵周囲への進展が軽度な場合は膵切除と周囲臓器の可及的縮小切除で根治性が得られるものである.
腫瘍の病理学的特徴を考慮すると,縮小手術の適応が考えられる膵腫瘍は,現状では平坦型粘液産生膵癌,腺腫,insulinoma,SC tumorなど極めて限定されたもので,浸潤やリンパ節転移がない膵管内乳頭腺癌や上皮内癌も,進展状況が確実に診断されれば縮小手術の可能性も考慮しうる.
腫瘍の局在からみた手術術式は多岐で,特に膵頭部病変では十二指腸温存膵頭切除や部分切除が開発されており今後腫瘍の特徴にあった合理的な術式が選択されるであろう.
索引用語
pancreatic tumor, minimal invasive surgery for pancreatic tumor, duodenum-preserving pancreatic head resection
日消外会誌 29: 1840-1845, 1996
別刷請求先
今泉 俊秀 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科
受理年月日
1996年6月12日
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