原著
RT-PCR法を用いたbiological response modifiersによるサイトカインmRNA誘導の解析
上平 裕樹
岡山大学第1外科
Biological response modifiers(BMR)によるサイトカイン誘導機序を解明する目的で,ヒト末梢血単核球をOK-432あるいはpolysaccharide K(PSK)で刺激し,サイトカインmRNAの発現をreverse transcription-polymerase chain reacdon(RT PCR)を用いて経時的に解析した.IL-1β,IL-6,TNF-α mRNAは1時間以内に発現が増強した.IL-2,IFN-γ mRNAはOK-432では3時間後より誘導されたが,PSKでは24時間まで誘導されなかった.サイトカイン蛋白はmRNA誘導より1~3時間のタイムラグをもって産生された.次にBRMに対する感受性の個体差を検討するため,臨床症例にOK‐432を投与し,末梢血単核球におけるサイトカインmRNAの発現を解析した.皮内投与では多種のサイトカカインmRNAが強く誘導される症例(high responder)が34例中4例あり,このような症例がBMR療法奏効例になるものと推察された.
索引用語
cytokine mRNA, OK-432, PSK, responder to BRM, PT-PCR
日消外会誌 29: 1900-1910, 1996
別刷請求先
上平 裕樹 〒700 岡山市鹿田町2-5-1 岡山大学医学部第1外科
受理年月日
1996年5月8日
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