右側結腸に穿孔性多発潰瘍を認めた腸型ベーチェット病疑診の1手術例

山中　達彦^＊, 岡田　和也, 高橋　護, 竹本　将彦, 田村　泰三

国立療養所柳井病院外科, ^＊現　あかね会土谷総合病院外科

　右側結腸に穿孔性多発潰瘍を認めた腸型ベーチェット病疑診の1手術例を経験したので報告する．症例は46歳の女性で，既往歴に口腔内アフタ性潰瘍を認めた．入院後汎発性腹膜炎の診断で緊急開腹し，右側結腸に多発性穿孔を認め，右側結腸広範切除術を施行した．切除標本では結腸の随所に大小不同の紡錘形を呈する境界明瞭な強い打ち抜き状の潰瘍およびびらんを認め，少なくとも15か所以上で穿孔していた．術後外陰部アフタを認め，human leucocyte antigen（HLA）B5，B51が陽性であることより腸型ベーチェットが疑われた．今回のごとく特徴的な潰瘍形態を呈した結腸型ベーチェット多発穿孔例は文献的に非常にまれと考えられた．

索引用語
intestinal Behçet's disease, multiple ulcers, right colon

別刷請求先
山中　達彦　〒730　広島市中区中島町3-30　土谷総合病院外科

受理年月日
1996年5月8日

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