原著
下部直腸手術における腰部高位の体位の有用性についての検討
前田 耕太郎, 丸田 守人, 橋本 光正*, 山本 修美*, 洪 淳一*, 中島 顕一郎*, 細田 洋一郎*
藤田保健衛生大学医学部消化器外科, 社会保除埼玉中央病院外科*
手術操作の困難な下部直腸手術において,より良好な視野を得るための体位の工夫をし,X線学的に視野の展開の程度を検討した.対象は,直腸の手術を施行した7例で,病変の部位はRs 2例,Ra 2例,Rb 3例である.方法は,術前直腸を造影し,恥骨上縁を金属片でマーキング後,患者の側面より仰臥位,砕石位,腰部高位の砕石位で骨盤部のX線撮影をし,術者の視野の位置となる天側よりみた直腸肛門側下瑞と恥骨上縁,第5腰椎体後縁との位置関係を検討し,視野展開の指標とした.手術は腰部立位の砕石位で行い,術者にこれまで行っていた砕石位と比較して,視野の展開につき質問し,体位についての評価を行った.実際に視野の指標となる恥骨上縁と直腸下端の距離は,仰臥位で平均4.8 cm,砕石位で8.4 cm,腰部高位の砕石位で5.5 cmとなり,術者の評価でもRs直腸の手術以外の全例で視野の展開が良好になったと評価され,腰部高位の体位の有用性が示唆された.
索引用語
position for rectal surgery, operation for rectal cancer, operation in the lower rectum
日消外会誌 29: 1964-1967, 1996
別刷請求先
前田耕太郎 〒470-11 豊明市沓掛町田楽ケ窪1-98 藤田保健衛生大学医学部消化器外科
受理年月日
1996年5月8日
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