症例報告
巨大な後腹膜paragangliomaの1切除例
岡見 次郎, 冨田 尚裕, 門田 卓士, 大植 雅之, 八幡 暁直, 関本 貢嗣, 島野 高志, 門田 守人, 福田 春樹*, 赤埴 吉高**
大阪大学医学部第2外科, 同 病院病理部*, PL病院外科**
後腹膜paragangliomaはまれな疾患であり,本邦では85例の報告例を認めるのみである.今回,我々は径約18 cmの巨大な後腹膜paragangliomaの1切除例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.症例は44歳の男性で,人間ドックの腹部超音波検査で腹部腫瘤を発見され当科紹介入院となり,血管造影検査で腫瘍血管の異常増生を認めたため血管系の悪性腫瘍を疑い腫瘍摘出術を行った.経過を通じて腫瘍の内分泌活性を疑わせる症状所見は認めなかった.
後腹膜paragangliomaの術前診断は困難であるが高度の内分泌活性を示す場合があり,後腹膜腫瘍の鑑別診断に加えて術前に十分な検査をすることが望ましい.また著明な血管増生を認めることが多く,術前に血管造影検査を行い十分な検索をしておくことが重要であると考えられた.
索引用語
retroperitoneal tumor, paraganglioma, hypervascularity
日消外会誌 29: 1978-1982, 1996
別刷請求先
岡見 次郎 〒581 八尾市南太子堂2-1-55 八尾市立病院外科
受理年月日
1996年5月8日
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