特集
消化器癌患者に対する質問票に基づくインフォームド・コンセント
辻谷 俊一, 前田 迪郎, 貝原 信明
鳥取大学医学部第1外科
我々は平成4年より入院患者に質問票を渡し,その回答をもとにインフォームド・コンセント(IC)を得ている.平成6~7年の入院患者の84%が真の病名を知りたいと答え,62%が病状の詳しい説明を望んだ.自分が病名を知りたくても家族の反対がある場合,65%が自分の責任ではっきり知りたいと答えた.我々はこの回答と家族の意見から説明の内容や時期を考え,必ず看護婦同席で説明する.告知対象患者の73%が告知され,食道癌60%,胃癌78%,大腸癌65%,肝胆膵癌73%,Stage I,II 84%,Stage III,IV 65%,再発で70%に告知されたが,切除不能は31%,末期は36%と低率であった.積極的にICを得ている当科では一般病院に比べて癌告知,治療や合併症の説明などを詳しく行う医師が多い.患者からICの希望を聞き,家族との積極的な話し合いをシステム化することにより癌の告知率を高め,適切なICを得ることが可能である.
索引用語
gastroenterological cancer, informed consent, questionnaire
日消外会誌 29: 1992-1996, 1996
別刷請求先
辻谷 俊一 〒683 米子市西町36-1 鳥取大学医学部第1外科
受理年月日
1996年6月12日
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