特集
進行膵癌患者の手術のためのインフォームドコンセントについて
森本 剛史
愛知県がんセンター消化器外科
膵癌の治療成績は極めて悪く,これに対する新しい治療として,術中照射・術中温熱療法同時併用による治療効果の増強を試みているので,そのためのインフォームドコンセント(IC)とその効果について検証した.対象は膵癌で,1992.4~1995.6の最近3年間に手術を施行した,著者が主治医の32例とした.IC内容は,(1)進行膵癌で切除できる可能性の%,(2)切除不能の余命が約6か月であることであり,術中照射・術中温熱療法同時併用による治療は本人納得のうえで実施した.切除例17例と非切除例15例中,外来生存中はおのおの8例,2例.いったん退院したのちの再入院癌死は,7例,4例.在院癌死は,2例,9例であった.術前のICによって,大体の患者は,膵癌の難治性を知り死の受容と覚悟が始まるように思えた.精神的肉体的QOLが良好だったのは,外来生存中の10/10と,いったん退院後再入院癌死例では,切除例6/7,非切除例2/4,在院癌死例では,切除例1/2,非切除例1/9であった.
索引用語
informed consent, pancreatic adenocarcinoma, quality of life
日消外会誌 29: 2005-2009, 1996
別刷請求先
森本 剛史 〒464 名古屋市千種区鹿子殿1-1 愛知県がんセンター消化器外科
受理年月日
1996年6月12日
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