特集
癌告知を受けた外科手術患者に対するアンケート調査
植田 英治, 吉見 富洋, 古川 聡*, 小野 久之, 朝戸 裕二, 登内 仁, 井上 真也, 黒木 義浩, 雨宮 隆太, 小泉 澄彦, 長谷川 博
茨城県立中央病院・県立地域がんセンター外科, 東京大学第1外科*
私たちは,患者がより良い医療を受けるためには患者自身が自分の病気について知っていることが不可欠であると考え,癌告知を積極的に進めてきた.告知に際して原発臓器・進行度・年齢・性別等は考慮しなかった.外科手術患者543人に癌告知を行い,生存していてアンケート実施可能な患者413人のうち366人(配布率89%)にアンケートを実施し,300人(回収率82%)より回答を得た.89%の患者が,「病名を告げられてよかった」と答えており,「癌では無いと嘘をついて欲しかった」と答えた患者は1%であった.告知により55%の患者がショックを受けたと答えていたが,回答患者の87%が3か月以内に立ち直ったと答えていた.現在当科では,癌であることを「知らないでいる権利」をも尊重する目的で,全初診患者を対象として,外来で告知希望の有無を確認した上で告知を進めている.癌告知を広く積極的に進めるべきであると考えられた.
索引用語
informed consent, questionnaire to cancer patients after surgical operations
日消外会誌 29: 2010-2013, 1996
別刷請求先
植田 英治 〒113 東京都文京区本郷7-3-1 東京大学医学部第1外科
受理年月日
1996年6月12日
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