特集
進行消化器癌患者に対するインフォームド・コンセントの実態と今後の対策
瀬尾 洋介, 斎藤 貴生, 馬場 秀夫, 鴻江 俊治, 友田 博次
国立病院九州がんセンター消化器部外科
進行消化器癌患者に対するインフォームド・コンセント(以下,IC)の実態につき調査し,その結果の検討から今後のICの在り立につき考察した.告知された患者の90.7%が告知を肯定し,48%の患者が末期での告知を,また65.9%の患者が予後の告知を希望していた.しかし病名を告げられた時,28.5%の患者が「愕然とした」と答えており,16.2%の患者は「心の傷がいまだ癒えていない」と答えていた.告知を希望するかどうか尋ねられることなく告げられた患者に衝撃は強かった.一方,進行消化器癌患者の68.6%に癌という病名が告知され,そのうち97.6%が「それでよかった」と答えていた.また医師の84%が癌という病名を告知していた.患者は詳細な医療情報を求めており,また75%以上の患者が説明はすべて本人にしてほしいと望んでいた.今後は病名,予後を含めた情報の開示の是非,事前の患者の意思の確認,さらに患者の告知への拒否権などの検討が望まれる.
索引用語
informed consent, advanced gastrointestinal cancer, telling true diagnosis to cancer patients
日消外会誌 29: 2014-2018, 1996
別刷請求先
瀬尾 洋介 〒815 福岡市南区野多目3-1-1 国立病院九州がんセンター消化器外科
受理年月日
1996年6月12日
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