特集
高齢者肝門部胆管癌および肝内胆管細胞癌の手術治療における問題点
山際 健太郎, 近藤 昭信, 黒田 久弥, 池田 剛, 飯田 俊雄
三重大学医学部第1外科
最近19年間に教室で経験した肝門部胆管癌83例と肝内胆管細胞癌39例を対象に,70歳以上の高齢者の手術治療上の問題点を検討した.高齢者では心・肺・腎・網内系機能が術前より低下しており,risk判定を慎重に行ったため高齢者肝門部胆管癌では手術率73.9%,肝切除率21.7%と非高齢者のそれぞれ85%,55%に比べ低率となったが,肝切除例の根治性は高齢者で100%と向上した.肝内胆管細胞癌では年齢に関係なく高度進展例が多く,肝切除率に両者間に有意な差はなかった.高齢者および非高齢者間でmortality(術死率,在院死率)ならびに根治度別の予後とQOL(平均在院日数)に有意な差はなかった.したがってこれら疾患では根治的手術が可能な症例では年齢,QOLを考慮して,たとえ高齢者といえども根治切除を行うことが望ましいと思われた.
索引用語
hepato-biliary malignancy, hepatectomy, elderly patients
日消外会誌 29: 2048-2052, 1996
別刷請求先
山際健太郎 〒514 津市江戸橋2-174 三重大学医学部第1外科
受理年月日
1996年6月12日
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