特集
生存率からみた高齢者結腸癌の定義に関する検討
石橋 敬一郎, 芳賀 駿介, 遠藤 俊吾, 加藤 博之, 高橋 直樹, 吉松 和彦, 橋本 雅彦, 梶原 哲郎
東京女子医科大学附属第二病院外科
高齢者を生存率から定義し,高齢者と非高齢者について検討した.対象は結腸癌切除例377例である.1歳ごとに2つの群に分け,累積5年生存率に有意差がでる最低年齢を以て高齢者と非高齢者に分類した.この結果77歳以上と77歳未満で有意差を認め,77歳以上を高齢者と定義した.臨床病理学的因子・合併症・手術死亡に差は認められなかった.死因は高齢者群に原癌死以外のものが多く,他病死・他癌死を打ち切り症例とした累積5年生存率では両群に差は認めず,結腸癌自体が生存に及ぼす影響は両群とも同様であると考えられた.さらに原癌死と再発例を除いた累積生存率と,生命表から算出した累積生存確率との比率は,高齢者群で0.857,非高齢者群で0.921であり結腸癌手術自体が宿主の生存に及ぼす影響は高齢者においては小さくないと考えられた.以上より高齢者に対しては根治度を保ちつつ全身状態を考慮して,術式の選択がなされるべきと思われた.
索引用語
colon cancer, survival rate, elderly people
日消外会誌 29: 2064-2068, 1996
別刷請求先
石橋敬一郎 〒116 東京都荒川区西尾久2-1-10 東京女子医科大学第二病院外科
受理年月日
1996年6月12日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|