原著
食道癌術後follow upにおける血中CEA,SCC抗原測定の有用性
生田 肇, 浜辺 豊, 成田 晃一, 白石 勉, 松浦 俊彦, 西田 勝浩, 大澤 正人, 山本 正博, 斎藤 洋一
神戸大学第1外科
食道癌切除後症例のうち血中CEA,SCC抗原濃度の両者を測定した52例を対象とし,再発例の陽性率,経時的推移およびcombination assayについて検討した.再発例は23例でCEAのsensitivity 56.5%,specificity 89.7%,accuracy 75.0%,また,SCC抗原ではそれぞれ60.9%,93.1%,78.8%であった.Combination assayではsensitivity 78.3%,specificity 86.2%,accuracy 82.7%と両者を測定することによりsensitivityが向上した.また,対象例のなかで術前にCEA,SCC抗原を測定した症例の術前陽性率はCEA 15.6%(7/45),SCC抗原13.5%(5/37)と低率であったが,再発例の術前陽性例5例では術後いったん正常に復し再発時に再上昇した.また,術前陰性例でも再発時に陽性となる症例がCEAで11例,SCC抗原で8例あり,また,再発時の治療効果を反映した症例もみられた.従って,食道癌術後にCEA,SCC抗原の両者を測定することはfo1low up上有用と考えられた.
索引用語
esophageal cancer, postoperative follow-up, tumor marker, carcinoembryonic antigen, squamous cell carcinoma related antigen
日消外会誌 29: 2069-2074, 1996
別刷請求先
生田 肇 〒650 神戸市中央区楠町7-5-2 神戸大学医学部第1外科
受理年月日
1996年7月10日
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