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第29巻 第11号 1996年11月 [目次] [全文 ( PDF 541KB)]
原著

進行胃癌症例におけるapoptosisと増殖活性の検討

稲田 高男, 尾形 佳郎, 市川 明, 五十嵐 誠治

栃木県立がんセンター外科, 研究検査部

 術前未治療進行胃癌切除例101例を対象として,組織学的進行度と腫瘍細胞のS期分画(S-phase fraction),apoptosis,bcl-2蛋白(Bcl-2)発現を検討し,進行胃癌における増殖活性とapoptosisの関与を検討した.
 腫瘍細胞のS-phase fraction,apoptosisはflow cytometryによるapoptosis-DNA二重染色により,Bcl-2発現は免疫組織染色にて検討した.S-phase fractionはstage IV症例において高かったが,他の因子と進行度との関連は見られなかった.apoptosis分画はBcl-2陽性例では陰性例に比べ有意に低く,また組織分化度より見るとBcl-2の発現は未分化型において高率であった.未分化型のS-phase fractionは分化型に比べ高く,S-phase fractionとapoptosis分画の間に逆相関の傾向が認められた.したがってapoptosisそのものは癌進行度との直接関係は認められないが,Bcl-2陽性例では低いことから,腫瘍増殖を規定する一因である可能性が示唆された.

索引用語
apoptosis of advanced gastric cancer, bcl-2 oncoprotein and apoptosis

日消外会誌 29: 2092-2097, 1996

別刷請求先
稲田 高男 〒320 宇都宮市陽南4-9-13 栃木県立がんセンター外科

受理年月日
1996年7月10日

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