臨床経験
直腸腫瘍に対するE式開肛器と自動縫合器を用いた経肛門的局所切除術の有用性
前田 耕太郎, 丸田 守人, 橋本 光正*, 山本 修美*, 洪 淳一*, 中島 顕一郎*, 細田 洋一郎*
藤田保健衛生大学医学部消化器外科, 社会保険埼玉中央病院外科*
これまで行われた直腸腫瘍に対する経肛門的局所切除術(PAE)ならびに経仙骨的局所切除術(TSE)と,新しく開発したE式開肛器と自動縫合器を用いた経肛門的局所切除術(MITAS)につき臨床的に比較検討した.対象は直腸腫瘍に対する局所切除術を施行した43例(44病変)で,24例にMITAS,17例にPAE,2例にTSEが行われている.3術式の対象となった病変の大きさはほぼ同じであったが,病変の部位はMITAS例で他の術式に比べ有意に高位であった.手術時間はMITASで平均28分,PAEで41分,TSEで73分,出血量はMITAS,PAE,TSEでそれぞれ平均25 g,47 g,45 gであった.術後の経口開始までの日数や術後の退院までの日数もMITASで有意に短縮した.合併症はPAEで縫合不全2例,TSEではなく,MITASで軽度の後出血を1例認めた.MITASはこれまでの局所切除術と比較して,より高位の腫瘍に到達可能なminimally invasiveな術式と考えられた.
索引用語
local excicsion for rectal tumor, transanal local excision, minimally invasive transanal surgery
日消外会誌 29: 2220-2224, 1996
別刷請求先
前田耕太郎 〒470-11 豊明市沓掛町田楽ケ窪1-98 藤田保健衛生大学医学部消化器外科
受理年月日
1996年7月10日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|