原著
進展様式からみた食道表在癌症例の検討
木村 寛伸, 小西 孝司, 月岡 雄治, 村岡 恵一, 前田 基一, 薮下 和久, 黒田 吉隆, 辻 政彦, 三輪 淳夫*
富山県立中央病院外科, 同 臨床病理科*
食道表在癌44症例48病巣を対象に,進展様式について検討した.平均腫瘍径は全症例では3.3 cm,ep癌で1.7 cm(0.5~3.5),m癌で3.7 cm(1.3~7.0),sm癌で4.1 cm(1.2~15.5)とm癌(p<0.05),sm癌(p<0.01)はep癌に比べ有意に腫瘍が大きかった.肉眼型と深達度との関係では,O-IおよびO-III型は深達度の深いものに,またO-II型はすべての深達度で認められた.リンパ節転移はm癌および2 cm未満のsm癌では認められず,sm癌でも周在性が1/2周性以上の広がりを有するものに転移陽性が多い傾向にあった.2症例に多発癌が認められ,そのうちの一方はm癌1病変,ep癌3病変の4多発癌であった.さらにm癌の2症例,sm癌の5症例に表層拡大型食道癌を認めた.表層拡大型のep癌領域内に離れて点在する粘膜浸潤の存在や,ep癌とm癌が近接して混在する多発癌症例の発生を考え合わせると,表層拡大型の発育進展は小病巣の多発に起因する可能性が示唆された.
索引用語
superficial esophageal carcinoma, superficial spreading-type of esophageal carcinoma, multicentric-type of esophageal carcinoma
日消外会誌 29: 2233-2238, 1996
別刷請求先
木村 寛伸 〒930 富山市西長江2-2-78 富山県立中央病院外科
受理年月日
1996年9月11日
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