定型的胃亜全摘術における術者の経験年数と術後成績に関する検討

森脇　義弘, 小林　俊介, 山腰　英紀, 長堀　優, 今井　信介, 城戸　泰洋, 笠岡　千孝

藤沢市民病院外科

　外科医の手術手技修得に関して，経験の浅い者を術者とすることの妥当性，危険性について検討した．藤沢市民病院で定型的胃亜全摘術を行った胃癌871例について，術者，術者と第1助手の年長者（最年長者）を経験年数別に卒後5年未満（A群），5年以上10年未満（B群），10年以上20年未満（C群），20年以上（D群）の4群に分け，手術侵襲，術後経過，遠隔期成績を比較した．（1）ステージI，II，III治癒切除例で，手術時間，術中出血量，術後経鼻胃管抜去，経口摂取までの期間，術後合併症，ステージ別の5年生存率，再発形式は術者の経験年数による各群で差はなかった．最年長者の経験年数による各群のステージ別5年生存率はステージIIでD群が有意に良好であった（p＝0.0481）．（2）ステージIII，IV非治癒切除例でも，手術侵襲，術後経過，遠隔期成績は術者，最年長者の経験年数による各群で差はなかった．適切な指導者のもとであれば，経験の浅い者を術者としても術後合併症や遠隔期成績の点で問題ないと考えられた．

索引用語
postoperative complication of the gastrectomy for gastric cancer, prognosis of the gastrectomy for gastric cancer, education of the surgical technique for fresh surgeons

別刷請求先
森脇　義弘　〒251　藤沢市藤沢2-6-1　藤沢市民病院外科

受理年月日
1996年9月11日

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