嘔吐で発症し進行食道癌を合併する食道破裂の1治験例

千野　修, 幕内　博康, 水谷　郷一, 町村　貴郎, 島田　英雄, 菅野　公司, 佐々木　哲二, 田島　知郎, 三富　利夫, 杉田　輝地^＊

東海大学第2外科, 山近病院外科^＊

　食道破裂は比較的まれではあるが，発症早期の診断と適切な治療が必要とされる重篤な疾患である．胃切除後の食道癌症例で嘔吐を契機に発症し，右胸腔内に穿破した特殊性のある食道破裂の1例を経験したので，診断，術後の問題点および術式の工夫について報告する．症例は68歳の男性，広範囲胃切除術後で4型＋O-IIc＋O-IIb型の胸部中部食道癌を指摘され入院した. 食後の嘔吐を契機に右胸腔内穿破型食道破裂を発症し右開胸開腹胸部食道全摘術RII，頸部食道瘻・胃瘻造設術を施行した．破裂部位は癌狭窄部の中央で病理組織では上皮内伸展であった．術後にMRSA感染があり開胸創感染と肋軟骨炎で治療に難渋した．肋軟骨切除と膿瘍腔切除で軽快した後に頸部食道残胃右側結腸間置術による2期的再建を施行した．癌合併例に対し食道切除術，リンパ節郭清と適切なドレナージを行った後に2期的に再建することができた症例を報告した．

索引用語
perforation of esophagus, esophageal cancer, secondary reconstruction

別刷請求先
千野　修　〒259-11　伊勢原市望星台　東海大学医学部第2外科

受理年月日
1996年9月11日

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