症例報告
十二指腸乳頭部gangliocytic paragangliomaの1例
国府 育央, 山田 克己, 山本 正之, 小林 貢, 彭 英峰, 秋山 洋介, 平位 洋文, 北野 秀武, 門根 謙介, 辻 求*
市立伊丹病院外科, 同 病理*
症例は58歳の女性.主訴は特になし.現病歴は検診にて胃前庭部に隆起性病変を指摘され,当院を受診.内視鏡検査にて胃に異常を認めず,乳頭部に隆起性病変を認め乳頭部癌疑いにて入院となった.上部消化管X線検査では,乳頭部に表面平滑な隆起性病変を認めたが,CT検査,血管造影検査,ERCPでは特に異常は認められなかった.生検で悪性細胞は認められなかったが,carcinoidを強く疑い,膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では乳頭部に約2 cmの病変が認められた.病理組織学的所見ではepithelioid cellが胞巣状に配列し,これを囲むようにspindle cellが増殖していた.また,少数のganglion-like cellが認められた.免疫組織学的にはneuron specific enolase,S-100,pancreatic polypeptideなどに陽性を示し,gangliocytic paragangliomaと診断した.本疾患は本邦では自験例も含めて16例であり,文献的考察を加えて報告した.
索引用語
gangliocytic paraganglioma of the papilla of Vater, duodenal gangliocytic paraganglioma, duodenal tumor
日消外会誌 29: 2284-2288, 1996
別刷請求先
国府 育央 〒664 伊丹市昆陽池1-100 市立伊丹病院
受理年月日
1996年7月10日
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