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第29巻 第12号 1996年12月 [目次] [全文 ( PDF 467KB)]
症例報告

肝内門脈分枝異常を伴った左側胆嚢に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した1例

瀧口 修司, 関本 貢嗣, 松井 成生, 矢野 浩司, 立石 秀郎, 衣田 誠克, 丸山 博英, 弥生 恵司, 岡村 純

大阪逓信病院外科, 大阪大学第2外科

 副肝管および肝内門脈分枝異常を伴った左側副胆嚢を腹腔鏡下に摘出した症例を経験した.症例は41歳の女性.平成6年6月,胆石症にて腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.胆嚢は胆嚢窩が肝円索の左側に位置する左側胆嚢で,肝内門脈分枝異常および副肝管を合併していた.胆道系の先天性異常のなかで内臓逆位を伴わず,胆嚢索の左側に位置する左側胆嚢のわが国における報告例は50例と非常にまれである.この中に自験例のごとく肝内門脈分枝異常を合併した症例が,9例と高率に認められている.右臍静脈が残存し右肝円索を形成した場合,胆嚢床が肝円索の左側に形成される可能性が考えられる.このような発生過程は,肝円索の走行異常による左側胆嚢で,従来考えられてきた発生機序とは異なるものと考えられた.我々が経験した症例について報告し文献的考察をおこなった.

索引用語
left-sided gallbladder, anomaly of intrahepatic portal vein, laparoscopic cholecystectomy

日消外会誌 29: 2294-2298, 1996

別刷請求先
瀧口 修司 〒543 大阪市天王寺区鳥ケ辻2-6-40 大阪逓信病院外科

受理年月日
1996年9月11日

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